2013年1月23日水曜日

「メンツを立てての敗退」:軍事侵攻が「法執行」へと変わった意味とは

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 あの傲慢ともいえる「日本にその覚悟はあるか」という口調は最近ほとんどみられなくなった。
中国は茫然自失で、完全に自信喪失状態におちいってしまっている。
「切り札」という4項目に軍事行動の文句が消えている。
それに反して、これまでは「法執行」なんて言葉は全く使っていなかったのに、今回はそれを言い始めた。
つまり、軍事力ではどうにもならない、強いていえば
 「負ける可能性が大きすぎる
ということがわかってきてしまい、
これまでの軍事力による恫喝から「法執行」といったようななんともあやふやなスタンスに切り替えてきたようである。
登り一本調子できた中国だが、どうも尖閣問題はその勢いに影をさしたようだ。
中国の弱さが表面化し、中国共産党の脆さが浮上してきている、ということだろう。


レコードチャイナ 配信日時:2013年1月23日 12時44分    
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=68724&type=0

<尖閣問題>
4枚の切り札で日本に報復する
=「外交・経済・世論・法執行の手を緩めず」―中国

21日、香港紙文匯報は『中国による日本への報復は、4枚の切り札を握っている』題した記事を掲載、「平和的解決を求める中国に対し、日本が行動を過激させている」との観点から、専門家が提示する対抗策を紹介している。北京の地下鉄駅に出された北海道観光の広告

2013年1月21日、香港紙文匯報は『中国による日本への報復は、4枚の切り札を握っている』題した記事を掲載、
「平和的解決を求める中国に対し、日本が行動を過激化させている」
との観点から、専門家が提示する対抗策を紹介している。
中国新聞網が伝えた。以下はその内容。

日本による釣魚島(尖閣諸島)紛争の挑発が始まって、すでに半年ほどになる。
中国側は再三にわたって平和的解決の意志と誠意を見せているが、日本の行動は過激化する一方である。
専門家は
「中国は一貫して静をもって動を制しているが、主導権は握っている。
日本が中国の平和的忍耐を読み違えて、ギリギリの線を越えようとすれば、
中国は政治、経済、世論、法執行という4つの切り札
を繰り出すことができる」
と指摘する。

軍事専門家の羅援(ルオ・ユエン)少将は、
「広い角度から、歴史的に考えなければならない問題。
中国はこの争いが長期化する覚悟をし、総合的に圧力をかけていかなければならない」
と述べた。

中国国際問題研究所の阮宗沢(ルアン・ゾンザー)副所長は、
「中国政府は道理と利益、節度ある態度で釣魚島問題に臨み、多くの報復措置を用意している。
決して手を緩めることはない」
と述べている。

羅氏によると、政治、外交的には中国は絶対に立場を譲らない。
日本側が話し合いを持ちたければ中国もそれに付き合うが、日本が拒否するならば様々な準備がある。
中国社会科学院辺疆史地研究センターの李国強(リー・グゥオチアン)副主任は、
「中国は日本による過激な行動を容認しない。
日本が勝手な行動を取れば、これまでよりも更に激しい外交競争が起こるだろう」
と述べた。

経済的には、日本はまず中国から経済的利益を得ることができなくなるが、一方で中国の安全を損なうことになる。
社会科学院日本研究所の高洪(ガオ・ホン)副所長は、これまで中国の一般人が自主的に日本製品をボイコットしてきたことを取り立ててとがめるべきではないが、経済カードは政府レベルと民間レベルの区別が必要で、政府レベルでは経済政策をさらに調整することができる」と述べた。

観光、貿易、税収といった分野以外に、日本への資源の輸出を減少、または制限することができるという指摘がある。
環境保護での協力を一時停止し、東シナ海での油田での交渉を無期限で延期あるいは取りやめ、石油探査と生産を全面的に再開する。

羅氏は
「中国は世論においても優勢を占め、釣魚島問題における発言権を握り、国際社会に向けて日本の非合理的要求と違法な行動を明らかにしていかなければならない」
と語った。

国家海洋信息中心情報・権益部の張揚(ジャン・ヤン)助理研究員は
「まず、中国の認識を統一し、宣伝を強化して日本の主張に反論し、中国の立場を述べる。
その後、国際社会に真相を理解させ、中国を支持する日本の学者の立場を宣伝していく」
と提案した。

法執行について羅氏は
「常態化し、回数を重ね、交代、密集的に法執行する。
軍民共同で防衛し、同時に日本が挑発的行動を起こしてきた際の準備を整えておく」
と述べた。

多くの専門家が、日本が誤った方向に進み続ければ、最終的には自分の首を絞めることになるだろうと警告している。


いろいろ言葉を使って中国にゆとりがあるように述べて、
「外交・経済・世論・法執行の手を緩めず」と言ってはいるが、外交ではミヤンマーをとられ資本の脱出が加速化しているし、経済ではダメージが中国側に大きく出ていることが明確化してきている。
世論ではこのままいくと社会不満の増大から共産党の弱腰外交が標的にされる可能性も大きく「共産党の賞味期限切れ」にもなってる可能性もある。
どれもこれも、中国にとってはマイナスに動いているものばかりである。
冬場は民衆の動きは鈍いが春が来て、夏になるととんでもない暴動になり、共産党政体がつぶされてしまうこともありえる。
それまでに何とか、事を沈静化したい、ということだろう。
でも、
 「切り札から軍事侵攻が消えた」ら、「切り札」にはなるまい。
ここ半年以内に中国は尖閣問題に結末をつけない中国は危うい。
そこまで逼迫した状況に追い詰められている、ということだろう。
尖閣にちょっかいださなければ、周囲から中国は「超大国」になりえる国家とみとめらていたろうに。
つい図に乗って大事に反応したため、日本の強硬な反撃を食らって、普通の大国に落ちてしまった。
このままでいくと「中進国のワナ」に陥る危険性も出てきた。
経済鈍化による社会不満を対外的にガス抜きしようと尖閣問題に飛び乗ったのであろうが、逆にてひどい反撃をくらって、行き場所を失ってしまった、といったところだろう。
外交が見通せないというのは中国共産党の欠点でもあるが。

 ところで「法執行」とは何か?
 一般的に考えれば「国際機関への提訴」であろう。
 どちらがほんとうの所有者かを第三者である国際機関に裁定してもらおうということである。
 つまり、中国は尖閣諸島の軍事的奪回を諦め、国際機関に委ねた、ということになる。
 もしそうだとしたら、条件としては、
 中国は航空機を領空に入れない、自衛隊はスクランブルをかけない
といったところになるだろう。
 なぜなら空域では偶発的な出来事で戦争を招くことがありえるからである。
 しかし、領海では両者が領有権を主張して、相変わらず
 「ネコとネズミの追いかけっこ」をしてもいい
といったところになるだろうか。
 
 もしそうだとしたらこの意味するものは何か。
 中国は国際機関に委ねることで、日本との軍事衝突を避け、「メンツある敗退」をしたということになる。
 端的にいうと
 中国が負けを認めたことになる。
 日本との戦争を避けた、ということでもある。
 日本には勝てないと自覚したことになる
 果たしてこれで「魚釣島は中国固有の領土」と煽った民衆が納得するか。
 大量の兵器というオモチャを与えられて、使いたくてウズウズしている解放軍が文句を言わないか。
 ひとまず平和が来たとして、外資はどう動くか。
 中国からの撤退を中止するか、それとも継続するか。
 それによって、中国経済が変わってくる。
 そして、尖閣がダメなら別のガス抜きを探さないといけなくなる。
 とすれば次のターゲットは台湾になる。
 尖閣は外国相手だが、台湾は国内問題である。
 国際的に文句を言われるスジアイはなくなる。
 
 「法執行」の意味はまだ明らかになっていないが、いろいろこれから動きが出てくるだろう。 




中国戦闘機、スタンバイへ


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