2013年1月21日月曜日

『中国人がタブーにする中国経済の真実』:汚職とは中国の精神文化・伝統文化である


●『中国人がタブーにする中国経済の真実』 福島香織・石平共著 PHP出版2012年1月12日発行


これまで中国にはあまり興味がなかったが、尖閣デモ以来、これは面白いと思ってニュースを追ってきた。
だんだんわかってきたのは、あまりの世界常識から外れた動きと言動であり、これで本当に世界ナンバー2としてやっていけるのかという危惧である。
中国の常識と世界の常識との間に横たわる溝はあまりに広くて深い。

結論からいうと、おそらく中国は
「ピークを過ぎて没落の過程に入っている」
のではないかということだ。
目の前の問題として尖閣問題で日中戦争はおこるのか、ということだが、これも結論からいうと小競り合いはあっても「起こらない」である。
なぜなら、
「中国解放軍はハリコの虎であり戦争を遂行するだけの能力実力がない」
ということである。
この事自身を解放軍は承知しており、そのため兵器の数とほとんどマユツバの兵器能力を誇大に宣伝することで、相手を威圧する形で声高にラッパを吹く形をとらざるを得ない。
日本のように、戦争経験が豊富にしてシステマテックにして有機的に動ける軍隊にとって、解放軍はほとんど赤子と同じに見えるだろう。
よって、自衛隊が
「いっちょ、やるか」
と覚悟したら、もう解放軍はどうにもすくんで動けなくなる。
解放軍とは国内という地域限定
 共産党を守るためのガードマン軍隊であって、
海の向こうに出ていけるシロモノではない
のである。
よって、中国はこれから尖閣にちょっかいだしながらも、
なんとかメンツを保つような形で収束をはかろうとするだろう。
そこで大言壮語のウラに隠された中国の悩みを感じつつ、
斜にかまえて中国の動きを見ていくのも面白いだろう。

尖閣問題をピークに中国の経済が没落していくということは?
ソビエト連邦の解体が歴史的出来事だったように、中国が沈んでいく姿を観察する機会を得たということは、
 歴史的出来事のナマの観察者になれる
ということでもある。
どういう形で落ちていくのか、原因とか過程とかもろもろ見失わないようにしないといけないと思っている。

友人が送ってくれた本の中にあったのが上の書籍。
その辺のところが書かれている。
意約抜き書きですので、正しくは本書で。


福島]:
高速鉄道が中国の「権貴政治」に産物であり、鉄道事業が汚職の温床になっている。
そこに軍との関係が加わり、
中国共産党、
 人民解放軍、
 政府、
の三者が密接に関わっている。
もはや、一介の技術者やメデイアが口出しできる問題ではなくなっていた。
福島]:
日本、フランス、カナダ、ドイツが入札に参加---
至るところがバラバラのまま、各国の部品を見て自己流で改良するなどして「中国独自の」高速鉄道を作りあげた。
基本技術はほとんどない。
これは鉄道に限った話でなく、クルマもそうです。
韓国のヒュンダイ(現代自動車)にしても、部品や技術のパテント(特許)のかなり部分が三菱自動車だ。
中国も基本的にクルマや鉄道の中枢部の技術は、日本やドイツ、フランスが占めている。
そうした寄せ集めをしなければならないのが、中国や韓国の産業がいつまでも抜け出せない悲劇なのです。
石]:
何か中国人全体が、技術に対する考え方を根本的に誤っている。
一言でいって、「科学技術の精神」がない。
技術というのは総合的なもので、自分たちの都合でバラバラにしたり、勝手に組み立てたりしてできるものではない。
それをオモチャのように、自分たちの都合で選び、時には盗んでまで手に入れて改造する。
この「精神」のなさに加え、「中国人特有の実利主義」が重なってきます。
技術や科学の進歩を追求するより、とにかく当面役立てばいい。
それが文化の「パクリ」の問題となる。
目的さえ達成できれば、あるいは実利にさえ適えば、偽物であっても構わない。
福島]:
確かなのは中国では「職人に対する尊敬」がない。
日本では技術者あるいは職人気質というものに対してリスペクトがあります。
技術者も自分がエンジニアであることに、誇りを持っている。
だからこそ、無名の技術者が奮闘する『プロジェクトX』のような番組が成り立つ。
石]:
なぜ技術者が尊敬されないのか。
実は昔から中国ではそうで、儒教世界で最も尊敬されるのは私のような学者、つまり実利上、役に立たない人間だからです。
そもそも孔子自身が『論語』で「君子は器ならず」と説いている。
要するに、偉い人は技術者などやってはダメだと。
孔子は「技」を持たない。
かわりに高い「知」があるから、周りを指図して人の上に立てばよい、という考えです。
中国では、技術のある人は「小人:しょうじん」にすぎない。
技術者に指図する経営者、金持ちが崇拝されるのが常です。
中国人が理解している市場経済や産業では「儲け」しか考えない。
「技術は儲けの手段の一つ」にすぎない。
それにかわる手段があれば、捨てても構わないものなのです。
「お金があるなら技術は買えばよい」。
「技術などどうでもよい」
と思っている中国人と日本人の間には、根本的な認識の差がある。
それはまた、中国人が永遠に勝てない日本人の強みでもある。
石]:
技術軽視は、ウラを返せば中国人の「儲け主義」「実利主義」「拝金主義」のことですが、高速鉄道にかぎらず汚職は日常的に行われています。
福島]:
汚職が根絶された中国の姿というのは、ちょっと想像がつきません。
汚職はどの国にもあることですが、ただ中国においては、あらゆる階層が汚職をする。
だから汚職とは、「程度の問題」にすぎない、という特徴がある。
そもその
「儲けたもの勝ち」
「生きる手段として、それぐらい当たり前」
「知恵のうち」
という部分がある。
石]:
汚職とは、いわば「中国の精神文化」ではないでしょうか。
福島]:
伝統文化でしょうね。
古くからある精神の一部です。
従って消し去るのは難しい。
もし汚職を根絶したいのなら、中華文化をまるごと否定するようなシステムを用意する必要がある。
もっとも、中国にかぎらず、「世界は性悪説」です。
「性善説」がまかり通るのは日本くらいですが。
ヨーロッパでもアメリカでも、庶民は放っておくと必ず悪い事をする、と考えられていますから。









中国戦闘機、スタンバイへ


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