2013年1月21日月曜日

尖閣から名誉ある敗退を探る中国の悲哀:メンツを立てて逃げ出したい



●19日、韓国紙・朝鮮日報は記事「尖閣問題で、中国側は“度を失わず”=日本側は手を緩めるか」を掲載した。年初来、再び緊張が高まっていた日中関係だが、ここにきて中国は抑制モードに転じたという。写真は尖閣諸島。



レコードチャイナ 配信日時:2013年1月21日 16時55分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=68647&type=0

<尖閣問題>
強硬姿勢から抑制ムードに転じた中国、日本の政治家と接触図る―韓国紙

 2013年1月19日、韓国紙・朝鮮日報は記事
 「尖閣問題で、中国側は“度を失わず”=日本側は手を緩めるか」
を掲載した。

 2013年に入り尖閣問題は再び激化、一度は日中の戦闘機が対峙する危険な状況まで出現した。
 ところがその後、中国は抑制ムードに転じた。

 18日付世界新聞網は、中国国防部外事弁公室の周波(ジョウ・ボー)大佐は
 「中国の軍艦は釣魚島の12カイリに接近せず、中国の戦闘機も釣魚島上空に進入していない。
 中国側は最大限の抑制を見せており、日本側は自らの発言と行動を反省し、火に油を注がないよう注意するべきだ」
との発言を報じている。
 また、同18日には中国外交部の洪磊(ホン・レイ)報道官も平和的な解決を望むと発言した。

 さらに中国は日本の大物政治家を中国に招き接触している。
 鳩山由紀夫元首相に続き、22日には公明党の山口那津男代表が訪中した。
 山口代表は安倍首相の提案した尖閣諸島への警察駐留に反対した穏健派。
 訪中決定前に安倍首相と会談しており、首相の親書かメッセージを伝える可能性もある。
 さらに28日には村山富市元首相、加藤紘一元自民党幹事長など日中友好団体関係者が訪中する。

 ただし中国のこうした動きに日本がどう対応するかは未知数だ。
 日本国内には穏健派と強硬派が存在するからだ。
 16日、中国を訪問した鳩山由紀夫元首相が領土問題は存在すると発言した後、小野寺五典防衛相は国賊という言葉が頭をよぎったと強く批判している。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/19 08:11
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/19/2013011900308.html

尖閣:一歩譲った中国、軍事行動自制

 今年初めに尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近に戦闘機まで投入した中国が突然軍事行動を自制する立場を表明し、日本の政界関係者を相次いで招くなど、これまでと違った対応を見せている。国際世論と日本国内の穏健派を狙った「ソフト攻勢」に転換したのではないかと分析されている。

 中国国際放送系の新聞『世界新聞報』は18日、中国国防省外事弁公室の周波・大佐が
 「中国軍は釣魚島問題で最大限自制している」
と語ったと報じた。
 周大佐は
 「武力衝突の余地がはあるが、双方の軍艦は釣魚島から12カイリ以内に進入しておらず、中国の軍用機も釣魚台上空を通過する飛行は行わなかった。
 日本も事態をエスカレートさせる行為をすべきではない」
と指摘した。

 中国はこれまで『解放軍報』が
 「総参謀部が年初に全軍に戦争準備態勢の強化を指示した」
と報じるなど、尖閣諸島問題で強硬な立場を固守してきた。
 こうした状況下で軍幹部が自制に言及したのは異例だ。

 中国外務省の洪磊副報道局長は記者会見で
 「当面求められるのは日本が誠意を示し、両国がお互いに問題の適切な解決と収拾が図れるよう実質的に努力することだ」
と述べ、尖閣問題の平和的解決を目指す姿勢を強調した。

 日本の政界実力者が相次いで訪中しており、両国実力者による水面下での接触が本格化しているのではないかとの見方もある。
 自民党と連立政権を組んでいる公明党の山口那津男代表は22日から3泊4日の日程で北京を訪れる。
 山口代表は安倍晋三首相が公約した尖閣諸島への警察駐留に反対するなど穏健な立場の人物だ。山口代表の訪中は安倍首相との合意に基づき実現した。
 朝日新聞によると、山口代表は安倍首相の親書やメッセージを持参する可能性があるという。
 これに先立ち、15日には鳩山由紀夫元首相が中国の学術団体の招きで訪中。
 今月28-31日には村山富市元首相、加藤紘一・元自民党幹事長ら日中友好協会の関係者も訪中を予定している。

 一方、日本国内では強硬意見と穏健的な意見が混在している。
 訪中している鳩山元首相が16日、尖閣諸島について
 「係争地であるということを互いに認めるということが大事ではないか」
と発言したことについて、小野寺五典防衛相は「『国賊』という言葉が一瞬、頭をよぎった」と述べた。
 菅義偉官房長官も
 「わが国の立場と明らかに相反する発言で、わが国の首相をされた方の発言として非常に残念で、極めて遺憾だ」
と不快感を表明した。


 尖閣問題をはじめたときは中国に勢いがあった。
 経済制裁で日本を締めあげ、尖閣諸島を差し出させるつもりでいたのだろう。
 確かに当初は100億円というデモ被害で日本に圧力をかけることができた。
 日本製品ボイコットも初めは有効だった。
 だが時が経つに連れて、日本のダメージよりはるかに大きなダメージを中国が被る事が見えてきた。
 観光では日本のダメージの倍以上のダメージを食らっていることがわかってきた。
 生産企業では、例えばトヨタなどは中国市場のダメージがありながら世界ナンバーワンへ返り咲いている。
 日本の企業はもはや中国を主要とはみなさず、中国からの脱出を促進しはじめた。
 この日本企業の脱出により、もはや「中国は世界の工場」という標語を返上せざることになるかもしれなくなってきた。
 またこのままいけば日本から中国政府がエネルギーの命脈と位置づけている原子力発電所の部品をはじめとして、主要な工業生産物の部品が入ってこなくなり、国家の中枢経済にまで影響が出てくることがわかってきた。
 経済制裁では、日本を締め上げるどころか、中国産業の息の根を止めるほどの影響が出ることになった。

 軍事では飛行機を飛ばせば確実にスクランブルがかかり、ヘタすると偶発的な事件で日中開戦にまで進むことも考えられるようになった。
 中国解放軍は数合わせのハリコの虎で、基本は国内向け共産党ガードマン部隊で、海の向こうで戦争を遂行するだけの実力はない。
 だが、日本は海向こうの戦争大得意のキャリアをもち、大掛かりな離島奪回作戦もミエミエで行い、ことがあったら臨戦態勢にはいることに何のためらいもないことが分かってきた。

 さらに外交では中国包囲作戦なるものまで実行され、長年の友好国であるミヤンマーを獲られてしまうというヘマすらやらかした。
 このままいくと、ミヤンマーのみならず北朝鮮まで中国傘下から抜けでて日本と手を結ぶこともありえることになった。

 経済、軍事、外交とこれだけでも圧倒的な「中国の敗北」であるが、それだけでは止まらなくなってきている。
 中国国内での失敗でこれに加わる。
 日本をいたぶるために大掛かりな官製デモを実行したが、これは民衆に大規模デモのやり方を教授する結果を生んだ。
 加えてその後の当局の動きの鈍さは当局の弱腰を非難させる材料まで与えてしまった。
 このままいけば強硬手段に訴えられない共産党は「賞味期限切れ政権」になりうる危険性を生んでしまっている。

 日中開戦の見通しは日本を除く外資を不安にさせ、日本と並んで中国からの撤退に拍車をかけることになるかもしれない。
 更に悪いことに、中国全土で見られた大気汚染は、環境問題でその元凶として国際資本が狙らわれる可能性が大きくなったことにも繋がってくる。
 とすれば、戦争危険のみならず国内問題にても外資の中国撤退を推進することになる。

 尖閣問題は中国の完全な失敗であった。
 失敗どころか、当局の存在にかかわるミスまでやらかしてしまった。
 中国としては、負けを認めることなく何とかこの問題から手を引きたい、
という対応に奔走しているといったところになってきた。
 相変わらず威勢のいいラッパを吹き続けてはいるが、
 今回は中国にとって見込み違いの最悪のケースであったであろう。
  「魚釣島モデル」とかいう名前をつけて
どうにかメンツを立てて逃げ出したいというところが本音だろう。

 周辺諸国はこれにより中国を恐れることがなくなるだろうし、結果として中国の恫喝外交は犬の遠吠えぐらいにしか聞こえなくなってしまった。
 なにしろ客観的にみて、「何一ついいとこなし」でいまのところ動いている。

 中国は国内の経済的低下による社会不満をナショナリズムでガス抜きしようとしている。
 そのターゲットになりうるのが台湾と尖閣である。
 台湾は「自国」と思っているが、尖閣は「自国でも他国」になる。
 まずは尖閣を「純粋自国」にしようとした。
 そうすることにより社会の不満を和らげることができる。
 8万人もの人員を駆り出してデモを演出した。
 日本品不買運動を立ち上げた。
 これで日本をびびらせた。
 シナリオは恐れをなした「日本が尖閣を差し出す」という、というはずであった。
 ところが、そうはならなかった。
 予定に反して経済的ダメージはまったくなく、逆に企業の中国撤退スケジュールをテーブルにのせてしまった。
 「反中」感情はピークして、90%を超えてしまった。
 中国に好感を持つ者は、たったの6%になったと調査は伝えている。
 日本のあらゆる部分に「反中」が蔓延浸透しはじめている。
 日本は中国なしでもやっていかれることを証明しはじめている。

 経済がダメなら「力づくで尖閣を奪い返せ」ということになるのだが。
 中国の根にある日本観は、
 「眠れる獅子」
だ。
 先の大戦で負けて静かにしているが、根っこは好戦意識がある。
 いまはただ「平和ボケ」を装っているだけ。
 そう中国は日本を見ている。
 もし、この好戦意識が刺激され目をさますとどうなるか。
 中国にとってこれは悪夢になる。
 なにしろ、大陸を柳絮された経験がある。
 戦争キャリアはとても兵器の数を並べただけの解放軍が太刀打ちできる比ではない。
 「眠れる獅子」は起こしてはならない。
 尖閣で中国はこの「眠れる獅子」がほんとうに起きてくるかどうかを試してみた。
 そして、
 「起きる」可能性が大きい
と判断した。
 この試みは実際、日本の軍拡に火をつけてしまっている。
 安倍政権の誕生は中国が手を貸したも同然のことである。
 さらに強硬派の維新の会までが第三勢力におどりでた。
 中国は民主党とうまくやっていけばよかったはずであったのだが。
 眠りから覚めようとしている獅子は、手を伸ばし始めている。
 ミヤンマーが中国に離反し、そして北朝鮮までが日本に近づく姿勢を持ち始めてきた。
 もはや、中国はとても尖閣を問題にすることはできない状態になってきている。

 国内の社会不満と尖閣の対日本弱腰非難に挟まれて中国はナショナリズムの行き先を変更することになる。
 となれば、残る選択肢はひとつになる。
 次は台湾である。
 今、台湾政府は親大陸の馬英九である。
 尖閣よりはるかに扱い易い相手である。




中国戦闘機、スタンバイへ


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