2013年1月28日月曜日

尖閣は中国が日本の殻を破ってくれた事件:これからの日本は少々不気味だ

iwaba

●26日、新京報は記事「『トウ小平伝』の作者:80年代の対日開放は反日教育よりもいい」を掲載した。中国を訪問したボーゲル氏は新京報の取材に答えている。写真は18日、北京市三聯書店。エズラ・ボーゲル氏。


レコードチャイナ 配信日時:2013年1月28日 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=68871&type=0
今の日中衝突は江沢民体制の反日愛国教育が生み出した
=エズラ・ボーゲル氏語る―中国紙

 2013年1月26日、新京報は記事
 「『トウ小平伝』の作者:80年代の対日開放は反日教育よりもいい」
を掲載した。
 18日、米社会学者エズラ・ボーゲル氏の著書「トウ小平の時代」の中国語版が出版された。
 中国を訪問したボーゲル氏は新京報の取材に答えている。

 江沢民体制の1990年代、中国は愛国主義教育運動を展開させた。
 最初はそこまで目を引くものではなかったが、1~2年もすると教科書の中には反日の内容が増えていった。
 文化的な環境の違いから日本人と中国人の歴史感覚は違う。
 中国にきた日本人はなぜ自分が生まれる前の第二次大戦のことについてわからないでいる。
 こうした民間のムードを背景に日中両国の指導者は緊張し、互いに弱さを見せられないと強硬姿勢を示している。

 思うにトウ小平の1980年代のやり方は良かったのではないか。
 彼は日本の映画、小説、テレビ番組を数多く中国に持ち込んだ。
 ゆえに1980年代に子ども時代を過ごした人々は1990年代に子ども時代を過ごした人よりも親日的だ。

 中国に住んでいた日本人の多くは反日デモを直接目にした。
 危険を感じ帰った人もいるだろう。
 ゆえに日本側の態度も緊張している。
 この緊張を説くには数年が必要だろう。

 では中国はどうするべきだろうか。
 まず中国側の高官が助け船を出すべきだろう。
 両国の指導者にメンツを与えるべきだ。
 その後、交流を回復するべきだろう。
 もともと日本の右派はそんなに強力ではなかった。
 しかし中国がこれほど強力に圧力をかけるものだから右派は強力になったのだ。
 石原慎太郎氏にしてももともとそんなに多くの人が支持していたわけではないのだ。
 中国が今のように強硬的にふるまってもメリットはないだろう。


 どこかで誰かが書いていたが、作用反作用なのだろう。
 民主党政権に中国が強くでれば、自民党政権という反中政権が誕生する。
 反中政権を誕生させた最大の原因は中国にあるといっていい。
 「右翼だ右翼だ」とバカみたいに中国が叫べば、これまでささやかだった右翼モドキが勢力を増してくる。
 右翼の勢力拡大にエネルギーを注ぎ込んだのは中国であることは確かだ。
 「釣魚島奪還」を旗印にすれば、それを阻止すべく日本は軍事力の増強に走る。
 中国の軍備拡張は同じように日本の軍備拡張を招く。
 日本が「反中」を強く打ち出せば、中国では「反日」が吹き荒れる。
 その程度のことは分かっていて政治というのは進んでいくものである。
 
 中国は言葉の国だから、強くて汚い言葉を多用する。
 それはでもあくまで言葉の羅列に過ぎない。
 ほとんど無視していいほどに価値がない。
 冷静に解析してみればわかるが、願望的結論を導くだけの屁理屈。
 証明するバックデータがまったくといっていいほど欠けている。
 こんなレベルでよくまあ、ものが言えるな、というほどに薄弱。
 だが、汚い言葉を避ける日本の文化ではこれは大きな刺激になる。
 言葉がその言葉に対する反対の結果を誘発する。
 力と言葉で圧倒できる相手ならこれは有効かもしれない。
 いわばヤクザの喧嘩だ、声が大きくドスの聞いていたほうが強く見える。
 「相手を怯えさせる」ことで勝ちを奪うことができる。
 だがしかし、過去に世界を相手に戦争をした経験のある国にはそれは通じない。
 痩せていても鍛えられた骨の太さは言葉の力では折ることはできない。
 論理的納得性が無い限り言葉は無視される。
 だが、大きな危険性がある。
 あるレベルまではじっと堪えるが、その線を超えたときは強く反発してくる、
ということである。

 中国は日本を過度に刺激しすぎた。
 東日本大津波というとてつもない災害を被った日本には、いま残念なことに恐れるものがなくなってしまっている。
 いっとき原発を全部止めてしまった。
 いまでも、動いているのは2基しかない。
 それでも悠々とやっている。
 また「一からやり直しだ」とウキウキしているのではないかと思うほどだ。
 そんななかでの尖閣問題はちょうど、いい息抜きになっているかもしれない。
 自然が相手では、おのれの弱さに畏まるしかない。
 尖閣には相手がいる。
 問題それ自体が明確に主張ができる論理的正当性に裏付けられたバックグランドをもって対峙できる事柄だ。
 尖閣とは、これまでの硬直していた日本の殻を津波が洗い流してくれたように、
 卑屈に甘んじているしか術はなかったアジアに正当な発言をしてもいい時期がきた、
と考えるようになるキッカケをもたらしてくれたものである、
そう見ることができる。

 尖閣問題は日本を覆っていた中国という頭の重しを取り外してくれた
という作用をしている。
 もちろん、それを取り外してくれたのは中国自身なのだが。
 中国自体はそのことに気づいていない。
 また中国の動きに合わせて、いま日本は中国というの殻を破りつつある。
 今の日本は殻から孵ったサナギのような状態にある。
 その殻を壊してくれたのは中国である。
 大気に触れた日本がこれからどういう動きをしていくのか、まだまだ未知数である。
 これからの日本の動きは、少々不気味だ。
 不気味というのは、これまでの行動パターンではないことをやりそうで、見極めがつかない、予想できない、と言った部分がその大半を占めているということである。
 今の日本は、あらゆる禁忌が清められつつある。
 それに手を貸しているのが中国である。
 中国の動きに並行するように日本は動いていく、というより育っていく。
 日本の動きはすべて中国に支えられている。
 日本の動きは、中国の動きにリンクしている。
 中国の動きに沿って日本は動いていく。
 中国が道先案内を務めてくれている。




中国戦闘機、スタンバイへ


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